ほぼ不定期連載

 Conflict of Heroes: Awakening the Bear! ビギナーズガイド

   <第2回:移動の基本>  by Takuya "Survivor"Suzuki

(連載第1回は、事前の告知がなかったにも関わらず最初の2日で300アクセスを超え、デザイナー本人からも激励のメールをいただきました。ありがとうございます)

 

今回は歩兵の移動ルールについて説明します。それにはまず、マップ上の地形について理解をする必要があります。

 

 

■地形

 

囲碁、将棋、チェス、モノポリーでいう「盤」にあたるものは、ウォーゲームではおおむね「マップ」とよびます。その呼び方のとおり、マップは現実世界の戦場をかなり抽象化した縮図で、様々な地形が描かれています。

 

対戦の際には、シナリオの指示にしたがって、マップの上のいずれかのヘクスにユニットを置きます。これらのユニットを移動、戦闘させて勝敗を競うことになります。

 

ユニットが置かれたマップの例

[ユニットが置かれたマップの例]

 

 

"Awakening the Bear!"のマップに描かれている地形は全部で8種類あります。

 

【超入門者向け解説】

 

Q:シナリオって言われても、脚本しか思いつきませんが。

 

A:シナリオ(scenario)には、脚本の意味もありますが、ウォーゲームでは軍事用語の意味で使用されます。つまり、ウォーゲームのシナリオとは、対戦するにあたって必要な種々の情報、たとえば使用するマップ、ユニット、ユニットの配置位置、勝利条件などが記された文書です。将棋などは、常に使用する盤も駒の種類や配置も決まっているので、シナリオを必要としませんが、ウォーゲームは、バラエティに富んだプレイが楽しめるよう、たいてい複数のシナリオが用意されています。"Awakening the Bear!"の原文では、"Firefight"という言葉が使われていますが、実質的にはシナリオ以外の何物でもないので、日本語版では「シナリオ」と訳されています。

 

ちなみに、英語オンリーになりますが、メーカーより追加シナリオが無償配布されています。

 

シナリオの例

[シナリオの例]

開豁地

開闊地:耳慣れない言葉かもしれませんが、要するに障害物も起伏もほとんどない野原です。

 

道路

道路:ヘクスを縦貫する灰色の線は道路です。開闊地とほぼ同じ扱いですが、装輪車両は走行時に特典を得られます(次回解説)。

 

石造建築物

石造建築物:灰色の四角は石造建築物です。石材やレンガでできた堅牢な建物のことです。

 

木造建築物

木造建築物:茶系の四角は木造建築物です。木造住宅のことです。

 

塀

:ヘクスサイドに沿う白黒のまだら模様の線は塀を表します。主に宅地や牧場で境界をなす石垣のことです。

 

水地形

水地形:水色のヘクスは湖沼や河川を表します。水地形をまたぐように道路があれば、それは橋です。

 

森林

森林:立体感のある深緑色の斑点が密集したような地形は、樹木が密生する森林を表します。

 

林

:森林の色が薄まったような地形は、森林よりは植生のまばらな林を表します。

 

 

ルールでは「地形」としてカテゴリー化されていませんが、「丘」についてもここで触れておきましょう。これは、他の地形に比べて隆起しています。薄茶色のヘクスはレベル1の高さがあり、濃茶色のヘクスはレベル2の高さがあります。それ以外のヘクスはレベル0の高さです。レベル0<レベル1<レベル2と高くなってゆきます。

 

レベル0の隣接ヘクスからいきなりレベル2へと隆起する箇所は、急斜面といいます。

 

丘はあくまでも他よりも高いことを示すだけで、地形の特色は上記で取り上げた8種のいずれかに準じます。たとえば、レベル1の丘に道路があれば、地形は道路です。

 

丘の例

[丘の例]

 

 

注意:1ヘクスの中に複数の地形が混在する場合は、ヘクスの中心点にかかっている絵柄の地形に準じます。例外的に、道路は中心点を走っていなくとも、その利点を活用できます。しかし、これも制限があります。道路の利点を得て移動したいと思ったら、ヘクスからヘクスへと道路づたいに移動せねばなりません。下図の例でいうと、上側にいるユニットは赤い円のあるヘクスへ道路移動できます。その左下にいるユニットは、赤い円のヘクスに移動しても道路移動とはなりません(森林への移動になります)。

 

道路移動例

 

 

 

■歩兵の移動

 

歩兵が戦場で行う行為は、移動と戦闘(射撃)に大別されます。移動は、敵の陣容を知るため、敵との間合いを詰めるため、あるいは敵から離れるため、司令部が指示した要衝を確保するため、といった目的を達成するために必須の行動です。攻撃側のほうが防御側よりも移動の機会が多いのは、攻撃側には離れた場所にいる敵を倒し、勝利条件を奪取する必要性があるためです。

 

さて、前回説明したように、歩兵ユニットの右上にある数字が、隣のヘクスに移動するために必要なAP(アクションポイント)です。この数字が1であれば、1APの消費と引き換えに1ヘクス移動できます。

 

ただし、行き先の地形によっては右上にある数字のAPで済まず、追加のAPを要するものがあります。開闊地、道路、林は、追加APは不要ですが、それ以外の地形は以下のように追加でAPを消費しなければ進入できません。

 

石造建築物、木造建築物、塀、森林・・・追加1AP

水地形・・・追加4AP

より高い高度(丘)へ・・・追加1AP

より高い急斜面へ・・・追加2AP

 

それでは実際に、歩兵を移動させてみましょう。

 

 

例1

[例1] ※画像にカーソルを置くとアニメーションを見ることができます。

 

 

次は丘への移動の例です。

 

 

例2:丘への移動

[例2:丘への移動] ※画像にカーソルを置くとアニメーションを見ることができます。

 

 

 

■向きと移動

 

全てのユニットには「向き」というものがあります。向きには「正面の向き」と「側面の向き」があります。正面とは、もっぱら注意と銃口(砲口)を向けている方向です。それ以外は全て側面です。

 

カウンターの山形の明緑色の部分が、正面を規定します。明緑色の部分があるヘクスサイドの目の前のヘクスと左右の隣接するヘクスが正面です。

 

下図には様々な方向を向いたユニットがいますが。丸囲いの十字章のヘクスが、各ユニットの正面となります。

 

 

ユニットの向き

 

 

移動の際には、ユニットの向きに注意しなくてはいけません。向きと移動に関係するルールは以下のとおりです。

 

(1) 側面ヘクスに移動する場合、追加で1APを消費。

(2) 今いるヘクスで向きを変えるには1APを消費。これでどの方向にでも一瞬で向きを変えられます。

(3) 隣のヘクスに移動した直後に、APを消費することなく任意の方向に向きを変えられます。これは移動先が正面でも側面でも適用できます。

 

移動と同じく、向き変更自体が1つのアクションです。つまり、単に今いるヘクスで向きを変えただけでも敵の機会行動を誘発しえます。

 

 

例3:側面移動と向き変更

[例3:側面移動と向き変更] ※画像にカーソルを置くとアニメーションを見ることができます。

 

 

今回のチュートリアルはここまで。次回は移動の応用ルールとして、車両の移動とグループ移動をとりあげます。

 

<第3回へつづく>

 

 

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